Changes To Support Implementation of the United States Patent and Trademark Office 21st Century Strategic Plan (21Sep2004) from USPTO Web-site 

米国特許庁21世紀戦略計画を支援するための米国特許施行規則改定(最終ルール)

 

米国特許庁は21世紀戦略計画を推進していく上で米国連邦議会の承認を得ずとも変更可能な施行規則に対して一部改定し、その最終改定版を去る2004年9月21日に公開しました。 

 

以下に米国特許業務関連者の日々の実務に直接影響するであろう重要なものをピックアップし、改定の内容をとりまとめました。 

 

@最重要な改定は米国特許出願時に基礎出願(外国出願)の優先権を主張しておくことのみで、同米国出願明細書に基礎出願をincorporation by referenceしているという明示がなくとも同基礎出願の内容が米国出願に組み込まれたとされるということであります(本改定規則の施行は本年9月21日の米国出願からであって既に開始されます。優先権主張の基礎となる外国出願は本年9月21日以前でも施行規則の改定の恩恵を享受できます。) 従って、優先権を主張することによって、従前の Notice of omitted items(明細書或いは図面の頁抜けがあった場合)を受けたときの冷や汗を掻く必要から開放されそうです。 やっと米国出願における優先権主張の明瞭な意味合いがでてきました。 

 

A さらに、実務に直結する改定内容は従前はOAに応答した後に審査官が同応答書の内容を検討する前までであれば比較的自由に追加補正(supplemental reply: amendment)を提出しており、それが受理されていましたが本年10月21日以降は応答後に審査保留の申請(request for suspension of action)をし、同保留中に追加補正を提出するという手法でしか追加補正書の提出が認められなくなります。 

 

B 後は審査官から明細書で不明な点があれば出願人の技術(或いは事実関連)知識の開示を要求する質問状(OA時)がくることになりそうです(本年10月21日施行です)。

 

詳細は Federal Register/ Vol. 69, No.182/Tuesday, September 21, 2004/ Rules and regulationsをUSPTOのHPで参照ください。

http://www.uspto.gov/web/offices/com/sol/notices/69fr56481.pdf (原文)

Summarized by Tatsuo YABE

on September 25, 2004

 

 

 

施行日

対象となる施行規則

改定内容の概要

(1)署名の仕方

Alternative signature

September 21, 2004

37 C.F.R.

§1.4

アルファベット及び・またはアラビア数字によって構成される機械署名をS-signatureと規定し、"/......./"の間に手書きの署名以外の手法で署名されるもので、電子化の進歩に伴いどの書類にそのような署名が有効であるのかを規定した。(詳細は略)

(2)Incorporation by

reference

 (参照による明細書への組込み)

September 21, 2004

§1.57(a)

 

本条項は新たに追加された。

 

米国出願において不注意で明細書のページ或いは図面を提出し忘れた場合であっても同米国出願時にパリ優先によって基礎出願から優先権を主張している場合(或いはPCT或いは米国国内基礎出願よりそれぞれ優先権を主張している場合)には、同基礎出願の内容を参照組み込み(incorporation by reference)の意図を明示せずとも、基礎出願(外国出願或いは米国基礎出願)の内容はその全てがすでに同米国出願に incorporation by reference(参照することによって同内容が組み込み)されていると見なされ、提出し忘れたページ(或いは図面)は後に米国出願に復元するべく補正可能である。

 

注意事項:

 

※ §1.57(a)の基に、基礎出願の開示内容が、米国特許出願明細書の一部とするには米国特許出願時において基礎出願より優先権が主張されている必要がある。

※ §1.57(a)の目的は米国出願において明細書のあるページ或いは図面の頁が米国特許庁に提出されていないという不注意によるミスを治癒可能とするためである。

※ 出願人は基礎出願の内容を incorporation by referenceする意図を明細書で明示せずとも優先権主張によるだけで基礎出願の内容は米国出願に組み込まれているとされるが、基礎出願に対するincorporation by referenceする意図を今後も継続的に明細書で明示することを米国特許庁は推奨している。

※ 出願人が米国出願時に意図的に基礎出願の内容を削除する場合もあるが、当該基礎出願から優先権主張をすることによって当該削除箇所は削除されたままであることが容認される。(審査官にmissing portionが指摘されたとしても出願人としてはそれに応答しないことによって意図的な削除を維持できる。)

※ §1.57(a)の施行日或いはそれ以降の米国出願から本改定のメリットを享受できる(基礎出願は§1.57(a)施行日前のものでも良い)。

※ 基礎出願に基づき補正を行うときには基礎出願が英語のときには同基礎出願のコピー、基礎出願が非英語のときには基礎出願の英訳を提出すること、さらに基礎出願から現米国出願に補充しようとする部分の特定をすること -- §1.57(a)(1)(i),(ii),(iii)

 

§1.57(b)

Incorporation by referenceをする場合には "incorporate"という用語と "reference"という用語の両方を使用すること。

§1.57(c)

本質的な内容 ("essential material")は米国特許或いは米国特許出願公開公報からのみ incorporation by reference可能; 本質的な内容とは112条第1、第2パラグラフの要件を満たすために必要な開示内容及び112条第6パラグラフの基にmeans plus functionクレームの解釈に必要な構成等の開示内容を意味する。 然るに本質部分を外国特許から補充することはできない。

§1.57(d)

非本質的な内容("non-essential material")は米国特許、米国特許出願公開公報、外国特許、外国特許出願公開公報、同出願による係属審査中の米国出願、或いは、非特許文献を参照することで明細書の一部とすることが可能。 但しインターネット上のHPをハイパーリンクするのは不可。

(3) CDでの提出

September 21, 2004

§1.52

コンパクトディスク(CD)で提出できるアイテムが増えた(詳細内容省略)

(4) IDS関係 

Content of Information Disclosure statement

October 21, 2004

§1.98

従前は出願人の裁量でIDS提出用のフォームを或る程度自由に設定可能であったが第3者による情報提供用の資料との混乱を避けるために米国特許庁指定の形式を遵守することを規定した。 1.98(a)(2)によって米国特許公報、及び、米国特許出願公開公報の提出の不要を規定した。

(5) 特別審査(早期審査)

Advancement of examination

 

October 21, 2004

§1.102

従前は対抗テロ(テロ対策:counter-terrorism)に関する発明は1.17(h)に基づく費用(130ドル)の支払いによって早期審査の対象として受理されていたが、今回の改正で費用の支払いなしに早期審査の対象として受理されることになった。 テロ対策関係の発明以外に出願人の年齢、健康状態が所定の条件を満たす特許出願、環境の改善、エネルギー源の改良に関する特許出願が早期審査の申請費用を支払うことなく同審査の対象となる。

(5) 審査官からの質問

Requirements for Information

October 21, 2004

§1.105

§1.105(a)(1)(viii)で、関連技術、明細書の開示事項、クレーム主題に関して出願人が周知している技術情報及び特許性に関わる事実情報、及び、各アイテムに対する審査官の理解の正確さに対する事実情報が審査官が出願人に開示要求できる技術情報であると規定した。

 

§1.105(a)(3)によって特許庁が出願人に対して技術(或いは事実関係)情報を要求するときの3つの形式を規定した。 それらは■ 技術情報に関する開示要求 ■出願人の事実関係知識に対する質問の形式 ■ 審査官の記載に同意するか否かの質問形式 である。

 

§1.105(a)(4)によって、出願人が上記質問及び情報開示要求に対して回答できないという場合(技術知識を有していない)或いはすぐには回答できないという場合には、その旨を記載し回答することでそれは完全な応答となるということを規定している。

(出願人の方で妥当な努力をしたにも拘わらず審査官の質問に適切に回答できない場合にはその旨の応答をすることは許容されるが、しかしそのような回答をすることによって出願人側が不利な結果を被ることになる可能性もあることを注記しておく。例えば112条第6パラグラフに基づきクレーム用語の範囲を解釈する場合にはクレームされた機能を実現する構成を明細書で特定すること必要である。 審査官の方でクレームでの機能表現とそれを実現する構成物の明細書での開示との関係が不明瞭であって、それを明瞭にするべく出願人に質問してもそれに対する明瞭な回答が得られない場合には審査官は112条第1パラグラフ或いは第2パラグラフの拒絶をすることになるであろう。 see 56512 Federal Register/Vol. 69 No. 182/Tuesday, Sep 21, 2004/Rules and Regulations)

(6) 追加補正書

Supplemental Reply

October 21, 2004

§1.111

§1.111(b)に基づく応答書(通常のNON-FINAL拒絶に対する応答)に対する追加の補正書は、§1.103(a)/(c)に基づく審査の一時中断 (suspension of action request)が申請されその審査中断中に提出する場合を除いては、出願人の当然の権利として特許庁に受理されるものではない。

 

例: 自明性拒絶を受け、出願人としては実験をしテストデータの取得に時間を要する場合には、出願人はOAに対して応答書を提出し、§1.103(a)の基に審査中断が必要な理由を明記し、 suspension of actionを申請することが可能である。 同審査中断の申請が許可された場合には出願人は同審査中断の期間が満了するまでにテストデータを取得し、それを盛り込んだ追加の補正書を提出することができる。

 

例: 最終拒絶を受け、出願人は応答書とRCEを提出する場合に、応答書の内容をより充実するために追加の補正書を提出する必要がある場合には、同応答書とRCEの提出に加えて§1.103(a)の基に審査中断の申請をすることが可能である。 要は出願人の申請による審査中断が認められればその中断期間中であれば追加補正を提出することができする。

 

但し、追加の補正書が以下の内容に限定されるものである場合には特許庁は裁量によって受理する:

■ クレームをキャンセルする場合;

■ 審査官の示唆に準じる場合;

■ 出願を許可にするような補正の場合;

■ 特許庁の要求事項に従う場合;

■ 形式上の軽微な補正をする場合(例:タイプミス等);

■ 審判での争点を簡略化する場合;

(7) 予備補正書

Preliminary Amendment

September 21, 2004

§1.115

§1.115(a)の規定する Preliminary Amendment(予備補正)とは第1回目のOAの送達日の前に特許庁に受理される補正書のことである。 同補正書が出願と同日に提出される場合には同補正書の内容は出願時の開示内容と見なされ<see §1.115(a)(1)>出願日以降に受理された同補正書は原明細書(出願時の明細書)の開示内容とは見なさない<§1.115(a)(2)>。 

 

クレーム全てをキャンセルしながらも新規のクレームを有さない予備補正書は受理されない<§1.115(b)(1)>。  

 

§1.115(b)(2)(i), (ii)では予備補正書がどのような条件のときに不受理となるかが規定されており、それは第1回目のOAの準備にどの程度の妨害を与えるかによるとし、それらは予備補正書が提出された時点でのOAの進行具合及び予備補正書の補正内容の程度が考慮される。

 

§1.115(b)(3)(i), (ii), (iii)では予備補正書が受理される条件を規定し、それらは出願後3ヶ月以内に提出される場合、継続出願をした日に提出される場合、PCT出願の国内移行日より3ヶ月以内に提出される場合である。

 

 

 

 

 http://www.uspto.gov/web/offices/com/sol/notices/69fr56481.pdf (原文)