米国特許施行規則改訂

  

特許出願クレーム数に係わる改訂規則  

 

規則 1.75 (b)

 

改訂規則公開: 2007年8月21日

改訂規則施行: 2007年11月1日

 

2007年08月21日USPTO Websiteで公開

http://www.uspto.gov/web/offices/com/sol/notices/72fr46716.pdf

 

Revised on September 25, 2007 

Summarized by Tatsuo YABE

on Aug 22, 2007

 

 

★ 2007年11月1日以降の米国出願、及びそれ以前の米国出願で第1回目の実体審査を受けていないものに”5/25”制限ルール適用: 

 

★ 原則、1出願(1出願ファミリー)で クレーム合計数25個以内・独立クレーム5個以内! (“5/25”制限ルール)

  

★ 同一人に所有され実質的に同一のクレームをひとつでも備えた別米国出願は同一出願ファミリーとして解釈され、最初の米国出願のクレーム数と合算し、“5/25”制限ルールの適用を受ける。 規則1.75(b)(4)と規則1.78(f)とがリンクしている!

 

★ 上記制限数を超える場合には出願人に多大な負担(審査補助書類の提出要)、故に 審査官から”5/25”制限ルール違反の通知を受けると実質同一クレームを削除するか、クレーム数を“5/25”制限ルールに合致するよう削減すること!

 

 

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改訂規則の概要:

規則改訂の趣旨は、特許庁の審査のバックログを低減し、全体的に特許出願審査経過期間を短縮することを目的とするものであります。 改訂規則によると出願時及びクレーム補正時にクレーム合計数が25個、或いは、独立クレームが5個を超える場合には審査を補助する書類を提出する必要が発生します。 さらに、特許性を識別できないクレームを含む関連米国出願(37CFR1.75(b)(4))があると判断される場合には、その関連出願のクレーム数と合算して"5/25"制限ルールを適用する。 同『審査を補助する書類』は出願人自ら調査を実施し、先行技術に対する各独立クレームの特許性を詳述することを要求するなど、出願人のメリットと考量すると理不尽な負荷が出願人に掛せられるので、通常発明を扱う出願人は本改訂規則によってクレーム数を規定数(全体で25個、独立は5個以内)に抑えることが強いられると考えます。

   

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筆者注:

改訂規則の施行日は11月1日ですが、同日付でPendingの米国出願で同日付で最初の実体審査を受けていない場合には、その後、審査官から通知を受けて、或いは、拒絶通知を受けてクレーム補正をするときにはクレーム合計数を25個以内(独立クレームを5個以内)にする必要があります。 

 

尚、一件の米国出願に対して“5/25”制限ルールが適用されるのが原則ですが、実質的に同一のクレームを有する同一人所有の出願がある場合にはその出願(37CFR1.75(b)(4))も含めて”5/25"制限ルールが適用されます。 従って、同一発明に関する複数の米国出願は(実質同じクレームが存在する場合:新規性は互いにあるが非自明性のハードルをクリアしないレベルの新規性)同一出願ファミリー(Rule 1.75(b)(4)参照)として解釈されるので、実質的に同一のクレームを他の米国出願から削除するか、或いは・さらにクレーム数を削減する必要があります。  

 

同一出願ファミリーとは = Rule 1.75(b)(4)で定める特許性を識別できないクレームを含む複数の米国出願・特許を意味する。

 

審査官自らが審査時に同一出願ファミリーに入る米国出願を見つける以外に、以下の規則に基づき同一出願ファミリーの出願と判断される可能性がある:

 

37CFR1.78(f)(1)(i) = 出願日の違いが2ヶ月以内(譲渡人同じ、発明者1人共通)の米国出願・特許を庁に通知する規則 ⇒ この通知に基づき審査官がRule 1.75(b)(4)で定める特許性を識別できないクレームを含む特許出願であるか否かを判断する;

37CFR1.78(f)(1)(ii) = 出願日が同一((譲渡人同じ、発明者1人共通、明細書に実質同一の開示あり)の米国出願・特許がある場合には特許庁に通知する。 ⇒ この通知に応じて同出願は特許性を識別できないクレームを含むという推定が働く。 ⇒ 出願人が同推定に反証できない場合には同一出願ファミリーとなる。

 

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改訂規則の概要:

 

規則1.75 (b)(1)

出願人は以下の場合には、第1回目の実体審査に関わるOAが発行される前に、規則1.265に基づきクレーム(独立及び従属クレーム)の各々に対し審査を補助する書類(Examination Support Document)を提出すること:

 

出願時或いはクレーム補正時に、  

(i)         合計クレーム(独立及び従属の合算)が25個を超えるとき;或いは

(ii)         独立クレームの合計が5を超えるとき;

 

(“5/25”制限ルール)称する

 

1回目のOA(実体審査)が発行されるまでに審査を補助する書類が提出されなかった場合には上記制限数を超えてクレームを追加することはできない。

規則1.75 (b)(3)

米国出願(NPA: Non-Provisional Application)に”5/25”の制限を越えたクレーム数がある場合、若しくは、補正によって“5/25”制限ルールの制約を越えた場合で、1.75(b)(1)或いは(b)(4)の要件を満たさない場合(審査補助書類を提出しない、あるいは、実質同一クレームがあり、同一人に他の米国出願が所有されている場合)には、出願人は特許庁より通知を受ける。 

 

上記クレーム数の”5/25"制限ルール違反が「不注意」によると理解される場合には、2ヶ月以内(期限延長不可)に本セクション(b)項の要件を満たすべく対応しなければならない。 そのような対応ができない場合には出願は放棄となる。

 

規則1.75 (b)(4)

(1)米国出願(NPA: Non-Provisional Application)の一つ若しくはそれ以上のクレームが、前記NPAと係続中の他の米国出願の一つ、或いは、それ以上のクレームと特許性を識別できない場合であって、 

(2) 最初の米国出願他の米国出願が同一人に所有されているか、同一人に譲渡する義務下にある場合;

 

それら特許性を識別できないクレームは、本セクション(b)を解釈する上で、最初の米国出願に含まれているものとして解釈する。

 

【例】 米国出願1を実施した後に審査官が米国出願2を見つけた。 

 

米国出願1米国出願2のクレームを比較すると米国出願1のクレーム5が米国出願2のクレーム3と同一ではないが、実質的に同一であった(特許性を識別できるレベルの違いはない)。 米国出願1には3/20のクレームがあり、米国出願2には6/12のクレームがある場合には米国出願1(最初の米国出願)に合計 9/32のクレームが存在していたと解釈される。 

 

従って米国出願15/25Rule違反と判断される。

 

⇒ この場合に出願人は米国出願1のクレーム数を調整し、5/25制限ルールを遵守するか、実質的に同一のクレームを削除する、NPA1で第1回目の実体審査結果が出ていない場合にはESD(審査補助書類※1:以下規則1.265(a)参照)を提出することで対応可能;

 

※1) 但し、ESDは出願人にとって過剰な負荷となるため非現実的な対応法である(筆者注)。

 

規則1.75 (b)(5)

1.141 – 1.146或いは1.499の基に非選択としたクレームには(それらが再度提示或いは再び組み合わされる”rejoinder”ということがなければ)5/25の制限を適用しない。

 

【例】 親出願(クレーム合計: ”10/50“)でエレクションに応答し、第1発明クレーム1〜25( “5/25”)を選択した場合に非選択のクレーム26〜50(”5/25”)を許可された第1発明のクレーム1〜25にRejoinderしない場合には”5/25”制限ルールの適用を受けない。

 

⇒ この場合にはクレーム26〜50に対して分割出願を実施可能である。

 

【例】 親出願(クレーム合計: 1/30: クレーム1のみ独立クレームでクレーム1とクレーム2−10のspecies I とクレーム1とクレーム11−30のspecies IIより成る)で限定要求を受けて、取り敢えずspecies Iに対応するクレーム1−10を選択した場合に、クレーム1が補正なしで許可されたので、従属クレーム11−30を rejoinderする場合には”5/25”制限ルールの適用を受ける。

 

⇒この場合にはクレーム11〜30をrejoinするときにクレーム合計数を25に削減するように補正するか、クレーム11−30に対して継続出願することができる(この時点では分割出願はできない: 何故なら、限定要求を受けたもののクレーム1が補正なしでOKになったということで、クレーム1がクレーム2−10と11−30を共に包括するブリッジクレームとなり、実体的に限定要求が解除されたことになる)

規則1.265(a)

 

Examination Support Document (審査を補助する書類)

 

本規則において審査を補助する書類とは以下の書類を意味する;

 

(1)    出願審査前に調査を実施したというstatement(調査の範囲を特定するUSクラス及びサブクラスを含む)

(2)    独立クレーム及び従属クレームの各クレームに対して最も関連性があると思われる公知技術のリスト;

(3)    上記公知技術に開示されている各クレームの構成要素を特定する(クレーム毎にどの特徴が公知で新規かを特定する:実態的にはJepson形式にするということ:筆者注);

(4)    各独立クレームの先行技術に対する特許理由を詳述する;

(5)    各クレーム(独立及び従属)の各々の構成要素が明細書のどこにサポート(112条第1パラグラフに基づくサポート)があるかを示す; 優先権を主張している場合には優先権のどこにサポートがあるかを示す(実質優先権の翻訳が必要となる:筆者注)

 

規則1.265(b)

 

上記規則1.265(a)に基づく審査前の調査は、出願人が特定する先行技術以上に関連性があるものが見つからないであろうということを妥当性をもって証明できない場合には、米国特許・米国特許出願公開公報・外国特許公報・非特許文献を含むこと; 調査の対象は各クレーム(独立及び従属)の構成要素の全てに関するものとする。

 

規則1.265(c)

上記規則1.265(a)(2)で要求される先行技術のリストは、先行技術を特定する情報のリスト; 先行技術のコピー(米国特許・出願公開公報を除く); 非英語文献に関しては翻訳が入手可能な状態になる場合には同翻訳を添付する;

規則1.265(d)

出願を補助する書類を提出している出願においてIDSを提出する場合には同IDS提出文献に対しても上記規則(a)(3), (a)(4)を満たす情報を記載すること; 但し、IDSとして提出する文献の関連性が低い場合には同規則を満たす必要はない。

規則1.265(e)

 

審査を補助する書類を提出する必要があるに拘らず、審査を補助する書類或いは審査前調査が不十分であると判断される場合には、出願人はその旨通知され、2ヶ月(理由なく期限延長不可)以内に必要書類を補正するか、または、追加書類を提出することが要求される、若しくは、クレーム数を規則1.75で規定される制限数に減らすことが要求される。 同処理を2ヶ月以内に完了できない場合には出願放棄となる。

 

規則1.704(c)

 

上記規則1.75(b)で要求される審査補助書面の提出が不十分と判断された場合には、規則1.75(b)を満たすための補正書の提出日或いは出願日より4ヶ月の何れか遅いほうの日から、同審査補助書類が前記規則1.265の要件を満たすまで(クレーム補正・選択・限定要求によって審査補助書面の提出の必要性がなくなる日まで)の間の日数がPTA(特許有効期限延長日数)より差し引かれる。

 

 

 

矢部達雄

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