USPTO's FINAL RULES

 

on

 

Derivation Proceeding

 

(真の発明者決定手続き)

 

 

http://www.uspto.gov/aia_implementation/2012-22204-derivation-proceedings.pdf

 

  

November 5, 2012

Summarized by Tatsuo YABE

 

20120911日に、冒認手続き(真の発明者決定手続き)に対する最終規則(FINAL RULESが特許庁のHPで公開されました。

 

本最終規則において冒認手続きを開始する要件として、先願と後願のクレームの同一性或いは実質同一の意味合い(特許性が識別できないレベル)が明瞭に規定され、冒認手続きを申請できる者、冒認手続きの対象となる特許出願及び特許、冒認手続き開始の期限(冒認手続き申請の出願可能日)である最初の公開から1年という「最初の公開」という意味合いが明瞭に規定された。 さらに、申請書の記載内容として、(1)申請人が冒認者(応答者)に対して冒認の対象となるクレーム発明を開示したこと、(2)申請人は冒認者(応答者)に対して当該問題となるクレームを含む出願をする権限を与えていなかったこと、(3) 冒認者(応答者)の問題となるクレームが、申請人が冒認者(応答者)に開示した発明と同一或いは実質同一であることを説明する。

 

AIAは従前のInterference手続き(誰が最初に発明したか)を廃止し(とは言え、Pre-AIA出願同士のInterference手続きは今後も継続される)、真の発明者の決定手続き(冒認手続き)を新設した。 現行のInterference手続きにおいて、我々日本人(米国以外で発明が行われた場合)が発明日を優先日よりも前に遡及できるようになったのは1995年6月8日の改正法による。 1995年6月8日以降、漸く、我々日本人も発明者のLab Noteの記録に基づき発明の着想日(但し、着想日から発明の具現化まで継続するdue diligenceが必要)まで発明日を遡及できるようになった。 それを契機に発明者の発明の着想から具現化に至る過程を記録した発明者の記録(Lab Note)が重要であると認識された。 但し、Interference手続きは費用が高額となり、また、統計的にも1000件に1件程度なので通常の業務では殆ど稀であった。

 

Post-AIAの米国出願(2013年3月16日以降に有効出願日を持つ米国出願)に対してInterference手続きは提起されることはないが、新設の冒認手続きの対象となりうる。 冒認手続きにおいて真の発明者であることを証明するためには、発明の着想から具現化に至る過程を記録した発明者の記録(Lab Note)が重要であることは言うに及ばない。 逆に言うとクレーム発明に相当する最終の量産図面のみが記録に残っている場合(冒認手続きは特許証の発行時に開始される場合もあるため発明の着想時点からは4〜5年経過している場合もあり、社内ドキュメント保管ルールで廃棄される場合もある)に真の発明者であることを証明するのは困難となるであろう。

 

また、従前のInterference手続きはどちらが(或い誰が)先に発明したのかを争うので、ある種、正々堂々とした勝負である。 どちらが勝ったとしても勝敗自体で悪意の存在を示すことにはならない。 しかし、冒認手続きは申請人としては少なくとも相手(応答人)を知財泥棒としてPTOに訴える形になるため、申請人と応答人とのビジネスの信頼関係はある種複雑になるであろう。 また、子会社が親会社を冒認手続きの応答人の側に立たせられるのか・・・? いずれにしても出願前に発明の打ち合わせを第3者とする場合には、発明に対してどこまで開示するべきかを予め制限を決めること、及び、打ち合わせの議事録(第3者に開示した内容を正確に記載する)を正確に残しておくことが重要となるであろう。 

 

このように冒認手続きに関しては、発明者によるLab Noteの記録及びその保管は今後も重要であり、且つ、第3者との打合せの議事録とその保管も重要となると考える。 勿論、第3者との打合わせの前に日本出願、或いは、米国仮出願をしておくなどのPro-Activeな対応も重要発明に関しては検討するべきであろう。 尚、発明者のLab Noteと第3者との打合わせの議事録はAIA102条の例外規定102条(b)(1)(B)及び102条(b)(2)(B)項を活用する場合(規則130条による宣言書で先行技術文献における開示内容は発明者自身によるものであることを主張する)にも有効である。

 

******************************************

最終規則の要点は以下参照ください:

 

■ 冒認手続きは2013316日より施行される。 同手続きの対象となるのは、Post-AIAの米国出願(米国指定された非英語公開されたPCT国際出願も含む)あるいPost-AIA出願で成立した米国特許である。

 

■ 冒認手続きは特許庁のPTAB2012916日より施行されるPatent Trial and Appeal Board)の3人のAdministrative Judges(行政法判事)によって審理される。 

 

■ 冒認手続きに関わる庁費用はPTABにおける審理で最も安価である。 庁費用は僅か400ドル。 但し、冒認手続に関与する米国弁護士費用はPGR, IPRに相当するくらい掛かる場合もあると予想される。

 

■ 冒認手続きを申請できるのは、冒認出願者の有効出願日よりも、有効出願日が後になる米国特許出願人(通常の米国特許出願人と再発行出願人を含む)である。

 

   -- 特許権者がPTABで冒認手続きを開始したい場合には、再発行出願人にとなることで可能(勿論先願の公開より1年以内という期限を遵守要)。

   see Response to Comment 62: 56079 Fed Register/Vol. 77, No. 176 Tue, Sep 11, 2012

 

■ 冒認手続きの申請人は、先に有効出願された米国特許出願(或いは有効出願され成立した米国特許)に当該申請人の米国特許出願の発明者から盗用されたのではないかと思料されるクレーム(申請人のクレームと冒認者のクレームとが同一或いは実質同一*1)があると思料される場合に、規則42.405で規定される書類(冒認があったことを証明する証拠書類:問題となるクレーム発明に関して先願者と通信があったこと、先願者に出願する権限を与えていなかったことを宣誓供述する)を伴い先の出願或いは特許の最初の公開日(*2)より1年以内に申請可能である。

 

    *1: see Response to Comment 2: 56072 Fed Register/Vol. 77, No. 176 Tue, Sep 11, 2012

    -- 同一または実質同一とは、冒認者のクレームが申請人のクレームに対して新規性がない、或いは、自明である。

 

    *2: see Response to Comment 5: 56072 Fed Register/Vol. 77, No. 176 Tue, Sep 11, 2012

   -- 最初の公開とは、問題となる(盗用されたと思料される)クレームが出願段階で公開された状態と特許が成立して公開された状態を含む。(注意: 出願公開段階でのクレームと特許された段階でのクレームは異なる)

    See also Response to Comment 13: 56073 Fed Register/Vol. 77, No. 176 Tue, Sep 11, 2012

    -- 最初の公開とはさらに問題となるクレームが継続出願(分割出願)或いはCIP出願で公開された場合も含む。

 

■ 規則42.405で規定された書類を揃えて申請し、受理されたとしても申請人のクレームが許可される状態になるまでは冒認手続きは開始されない。 要は、申請人或いは冒認者(応答人)のいずれかのクレームが許可される状態にならないとPTOの審判部の多大なエネルギーを損失する。 

    see Responses (56073: 56076) to Comments 14 & 30: Fed Register/Vol. 77, No. 176 Tue, Sep 11, 2012

 

■ 審判部の決定は申請人と応答者(冒認者)の何れかの勝敗とはならない場合もある。 例)先願の発明者と後願の発明者の両方に間違いがあると判断される場合もある

    see Response to Comment 55 (56079): Fed Register/Vol. 77, No. 176 Tue, Sep 11, 2012

 

■ Pre-AIAの出願とPost-AIAの出願が問題となる場合にはInterference手続きの中に冒認手続きを含める場合がある。

 see Comment 15 and its Response (56073):  Fed Register/Vol. 77, No. 176 Tue, Sep 11, 2012

 

******************************************

最終規則の概要は以下の通りです。

 

 

FINAL RULES

  Comments

 

42.400:

冒認手続きは規則42条のSubpart Aで規定するトライアル手続きである。

 

42.401: 定義

特許法第135(e)で言及する「同意」或いは「理解」とは規則42.74条の基では「和解」を意味する。

出願人」は再発行特許の出願人を含む。

「出願」とは、通常の米国特許および再発行特許の出願を意味する。

最初の公開」とは、米国特許公報の公開、或いは、米国特許出願公開(米国を指定する国際出願の公開:非英語も含む)である。

「申請人」とは、米国特許の出願人であって、第3者による先の出願において申請人の成した発明をクレームしているということの事実認定を求める者である。

「応答人」とは上記申請人以外のものを云う。

「同一」又は「実質的に同一」とは互いに特許性を識別できないことを意味する。

「最初の公開」とは米国特許出願公開、PCT(非英語公開)、米国特許公開を含む。 さらに継続出願、CIPでの公開を含む。

see Responses to comments 10, 13, Fed Reg. 56702, 56073

 

「同一または実質的に同一」とは、冒認者のクレームが申請人のクレームに対して新規性がない、或いは、自明である。see Response to Comment 2: 56072 Fed Register

42.402:誰が申請人になれるのか?

特許出願人が冒認手続きの開始をPTOに申請できる。

  特許権者であってもReissueの出願人になることで冒認手続きを申請可能。  Response to Comment 62: 56079 Fed Register

42.403: タイミング(申請する期限)

先の出願人の(申請人が冒認であると主張する)同一又は実質同一のクレームが最初に公開されて1年以内である。

 See Responses to comments 10, 13, Fed Reg. 56702, 56073

42.404: 費用

申請書面と同時に費用(400ドル)を支払うこと。

費用の支払いがない場合には冒認手続きの出願日が付与されない。

42.405

申請書の内容:

(a) 当事者適格性:

 (1)規則42.402及び規則403に該当することの証明;

 (2)申請人の少なくともひとつのクレームが応答人のクレームされた発明と同一或いは実質同一であること、及び、応答人に開示した発明と同一或いは実質同一であることを証明する;

(b) 申請人はさらに、申請書に以下を含むこと:

 (1)冒認手続きの対象となる特許出願或いは特許を特定し、

 (2)申請人の出願の発明者より先の出願でクレームされた発明が冒認されたこと、及び、同発明者はその発明をクレームした先の出願をすることに権限を与えていなかったことを示す;

 (3)応答人の問題となる各クレームに対して、発明者が応答人に開示した発明と同一或いは実質同一である主張する理由、及び、問題となるクレームの解釈(Means + Functionがある場合には明細書の対応する箇所を特定する);

(c) 立証基準

  冒認の証明は十分な証拠(少なくともひとつの宣誓供述書において、問題となる発明に関する応答人との通信'communication'があったこと及び応答人に対して出願することの権 限を与えていなかったことを供述する)、でサポートされていない場合には不十分と判断される。当該通信'communication'の存在に関してはそれを裏づけ証拠が必要。

 

「同一または実質的に同一」とは、冒認者のクレームが申請人のクレームに対して新規性がない、或いは、自明であることを意味する。see Response to Comment 2: 56072 Fed Register

 

42.406: 送達

申請人は応答人に対して申請書と証拠を送達しなければならない(当事者の同意に基づき電子メイルあるいはExpress Mail或いはそれ相当の郵便で送達可能)。

 

42.407: 出願日

(a) 以下の要件を充足しないと申請書に出願日は与えられない:

(1) 42.404の費用と42.405で規定する申請書の内容を満たすこと;

(2) 42.406で規定する送達

 

(b) 申請書に不備がある場合には出願日は与えられない、当該不備を一ヶ月或いは法廷期限(先の出願のクレームが公開されてから1年)の何れか早い日までに修正できない場合には申請を不受理とする。

 

冒認手続きの開始

42.408: 

(a) PTOPTAB(審判部)のAPJ(行政法判事)によって手続きが開始(或いは再開)される。

(b) 申請人は他の特許或いは出願を冒認手続きに追加することを提言しても良い。但し、その場合には原申請書になぜそれを盛り込めなかったのかを説明することが必要。

 

冒認手続きが終了した後:

42.409: 

特許法135(e)項で云う「同意」或いは「理解」は規則42.74条における和解を意味する。

 

42.410: 仲裁(抄訳のみ)

 

(a)当事者間の合意の下に、選択した争点に対して拘束力を持たせる仲裁の手続きをすることも可能。

 

(b) 審判部は以下の状況に該当しない場合には仲裁の時期を設定あるいは変更しない:(1)合衆国法典9節に基づく仲裁;(2)当事者が仲裁を希望する意図を審判部に伝えた場合;(3)仲裁での合意事項を書面で記録し、仲裁の争点を記載し、合意に達した日より30日以内に仲裁人の名称(名前)を記載し、 仲裁の決定は両当事者を拘束し、仲裁での決定事項を審判の記録に入れると記載し、合意書が作成されてから20日以内に合意書のコピーを審判部に提出し、仲裁が審判部の設定する期間内に終了すると記載している場合。

 

(c) 両当事者は仲裁人の選定と仲裁を実施することに責任を負う。

 

(d) 審判部は仲裁において合意に至らなかった事項に対して審理することができる。

 

(e) 審判部は、仲裁の合意事項が、両当事者を拘束し、書面合意であり、明白に争点を記載しており、合意に達して20日以内に提出された場合にのみ、仲裁での合意事項を検討する。

 

(f) 仲裁での合意事項が提出された後に、当業者は同合意に反するアクションを起こすことはできない。

 

42.411: 発明に対する共通の利益(抄訳のみ)

冒認手続きの対象となる特許出願と特許、あるいは、特許出願と他の特許出願が同一人に所有される場合には審判部は冒認手続きの申請を受理しない、或いは、審理が既に開始されている場合には結論を出す。

 

42.412: 

(a) 審判部の記録に対する公共のアクセス(抄訳のみ)

ファイルに記録された冒認手続きの審判部の審決は一般公衆がアクセスできる。PTOからの情報の公開予定通知を受けてから2ヶ月以内に、トレードシークレットを含むことあるいは公共がアクセスできない守秘情報を含むという理由を書面で記載し、当事者が非公開を請求しない場合には公衆にアクセスできる状態となる。

 

(b) 公衆にアクセス不可な出願が冒認手続きの対象でない場合には、審決が出た後は、審判部の記録は公開される。

 

 

 

 

 

(1) US Patent Related

(2) Case Laws

(3) Self-Study Course

(4) NY Bar Prep

(5) LINKS

Home