当事者系レビュ(IPR)において 追加のディスカバリーが認められる要件? IPR2012−00001事件
Garmin Int’l v.
Cuozzo Speed Technologies by
Tatsuo YABE March
26, 2013
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IPR2012−00001事件
2012年9月16日にIPR申請
対象となる米国特許:US6778074号
特許権者: Cuozzo
Speed Technologies
IPR申請者:
Garmin Int’l
IPRは従前の当事者系再審査手続きとは異なり限定的ではあるがディスカバリーを認めている。 ルーチンディスカバリーは宣言書で宣言したる者に対して実施可能であることは特許法316条(a)(5)(A)で規定されているが、それ以上のディスカバリー(a)(5)(B)に関しては「正義に適って必要な場合に可能」と規定されており、その判断基準が不明瞭である。 この度、PTAB(米国特許庁審判部)は当該条文の規定「正義に適って必要な場合」の判断基準として5要件を明示した。 PTABは申請が認められてから1年以内に最終結論を出すという非常に迅速な手続き故にルーチン以上のディスカバリーの要求が認められるのは当然困難となるであろう。
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AIA法改正により2012年9月16日から成立後9か月を経過した米国特許に対して申請することが可能となった(*1)。
(*1)
但し、HR6621 の成立によって2013年1月14日以降は、Pre-AIA特許に対しては9か月経過せずともIPR手続きが可能となった。
本事件はUSP6778074(Cuozzo社)に基づき既に侵害訴訟が既に開始され、訴状を受け取って1年以内に被疑侵害者であるGarmin社によって、2012年9月16日にIPR(IPR第1号:IPR2012-00001)が申請された。 Garmin社の申請書において当該USP’074特許のクレーム1−20の無効性が主張された。PTABはクレーム10,14,17に対してのみ
reasonable likelihood of prevailing の閾値を満たしていると判断し、2013年1月9日IPR申請を認めた。
IPR手続きは、従前の当事者系再審査と異なりルーチンディスカバリーと追加(さらなる)ディスカバリーを実施することが可能と条文(米国特許法第316条(a)(5))で規定されている。
■ 米国特許法316条(a)(5):
(A)
宣誓供述書或いは宣言書を提出した証人から供述録取(deposition)をとるため、及び、(B)正義に適って必要な場合にはディスカバリーをすることが可能である。
(5) setting forth standards and procedures
for discovery of relevant evidence, including that such discovery shall be
limited to—
(A) the deposition of witnesses submitting
affidavits or declarations; and
(B) what is otherwise necessary in the
interest of justice;
■
米国特許規則 42.51(b)(2)では以下のように規定している:
要求する側の当事者は、「さらなるディスカバリーは正義に適って必要である」ということを証明しなければならない。
今回、本事件において、PTABにおいて「さらなるディスカバリー(正義に適って必要な場合)」がどのような状況において可能となるのかが明示された。
The
statutory standard is “necessary in the
interest of justice.” That standard is not a mathematical
formula, but these factors are important: |
さらなるディスカバリーを認めるか否かの判断基準は「正義に適って必要か?」と条文で記されているが、この基準は数学の定理ではなく、以下に列記する因子を検討することが重要である: |
1.
More Than A Possibility And Mere Allegation -- The mere possibility of
finding something useful, and mere allegation that something useful will
be found, are insufficient to demonstrate that the requested discovery is
necessary in the interest of justice. The party requesting discovery
should already be in possession of evidence tending to show beyond
speculation that in fact something useful will be uncovered. |
1.可能性以上及び単なる疑惑以上が必要: 何か有用な情報を得られる可能性がある、または、何か有用な情報を得られるという主張のみでは「正義の基に追加のディスカバリーが必要である」という条文の要件を満たさない。 ディスカバリーを要求する当事者は、追加(さらなる)ディスカバリーによって有益なる情報が得られるという推論以上の確からしい証拠を既に持っていなければならない。 |
2.
Litigation Positions And Underlying Basis -- Asking for the other
party’s litigation positions and the underlying basis for those
positions is not necessary in the interest of justice. The Board has
established rules for the presentation of arguments and evidence. There is
a proper time and place for each party to make its presentation. A party
may not attempt to alter the Board’s trial procedures under the pretext
of discovery. |
2.訴訟における相手の状況とその理由: 相手側当事者の訴訟における状況とその基礎となる理由をディスカバリーで求めるのは正義に適ったという条文の要件を満たさない。 PTABは、既に最終規則(trial
procedure)において、議論と証拠の提示(発表)に対する最終規則を設定した。 各当事者にはプレゼンテーションをする適切な時間と場がある。 当事者はディスカバリーを口実としてPTABが設定したトライアルの手順を変更するべきではない。 |
3.
Ability To Generate Equivalent Information By Other Means
–Information a party can reasonably figure out or assemble without a
discovery request would not be in the interest of justice to have produced
by the other party. In that connection, the Board would want to know the
ability of the requesting party to generate the requested information
without need of discovery. |
3.等価の情報を他の手段で入手できる可能性: 当事者が合理的に理解可能、または、ディスカバリーをするまでもなく入手可能な場合に、他の当事者にそれら情報を提供させるというのは「正義に適って必要」という条文の要件を満たさない。 ディスカバリーをすることなく情報を入手できない理由をPTABは情報を要求する当事者に質問することもある。 |
4.
Easily Understandable Instructions -- The questions should be easily
understandable. For example, ten pages of complex instructions for
answering questions is prima facie unclear. Such instructions are
counter-productive and tend to undermine the responder’s ability to
answer efficiently, accurately, and confidently. |
4.質問が容易に理解できること: 何を要求しているのか質問が容易に理解できること。 例えば、質問に回答するのに10ページにも及ぶ複雑な指示・説明文がある場合には、不明瞭と判断されるであろう。そのような指示・説明文は非生産的であり、回答者が効率的に、正確に、且つ、確信して回答できる能力を低下させることになる。 |
5.
Requests Not Overly Burdensome To Answer -- The requests must not be
overly burdensome to answer, given the expedited nature of Inter Partes
Review. The burden includes financial burden, burden on human resources,
and burden on meeting the time schedule of Inter Partes Review. Requests
should be sensible and responsibly tailored according to a genuine need. |
5. 過度の負担を与えないこと: IPR自体迅速な手続きであるので、ディスカバリーの要求は回答者側に過度の負担を強いるものであってはならない。過度の負担とは経済面、マンパワーの面、及び、IPR手続きを実施するうえでの時間制約の負担などを含む。 ディスカバリーの要求は誠実なる必要性に基づき、思慮深く、責任をもって仕上げられていること。 |
2013年2月14日PTABは「さらなるディスカバリー」の必要性を正当化する上記5要件を列記するとともに、Cuozzoに対して2月21日(一週間の期限)までに15枚以内の追加ディスカバリー申請書の提出を命じるとともに、当該申請書において、(i)
追加ディスカバリーを要求する各アイテムに対して上記の要件を満たすことの説明、(ii)
CuozzoがGarminに要求する情報が特許権者の応答を促進する理由説明、さらに、(iii)
ディスカバリーの申請書が期限ぎりぎりに提出された訳を説明することを命じた。
PTABはGerminに対して、Cuozzoの追加ディスカバリー要求が経済面、人的な負荷面、及び、期限面でどれだけ過度な負荷が生じるかを2月28日までに15枚以内の反論書で提出することを命じた。
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以下は参考のみ:
(1)IPRのSchedule Order:
尚、IPR手続きの進行手順(期日)は2013年1月9日のSchedule指令によって以下のように設定された:(IPR申請が認められてから1年以内にPTABの結論がだせるように期限設定されている)
DUE
DATE 1………………………………………March 11, 2013
Patent
owner’s response to the petition
Patent
owner’s motion to amend the patent
DUE
DATE 2………………………………………May 21, 2013
Petitioner’s
reply to Patent Owner’s response to petition
Petitioner’s
opposition to Patent Owner’s motion to amend
DUE
DATE 3………………………………………June 21, 2013
Patent
Owner’s reply to Petitioner’s opposition to Patent
Owner’s
motion to amend
DUE
DATE 4………………………………………July 12, 2013
Petitioner’s
motion for observation regarding
cross-examination
of reply witness
Motion
to exclude evidence
Request
for oral argument
DUE
DATE 5………………………………………July 26, 2013
Patent
Owner’s response to observation
Opposition
to motion to exclude evidence
DUE
DATE 6………………………………………August 2, 2013
Reply
to opposition to motion to exclude evidence
DUE
DATE 7……………………………………August 16, 2013
Oral
argument (if requested)
(2)PTOのHPからIPR画面(経過書類閲覧画面)にアクセス
http://www.uspto.gov/ip/boards/bpai/prps.jsp
から、Direct Linkへ:
上記画面のTrial
Numberに「IPR2012−00001」と入力する。 以下の画面が現れる。
(勿論、特許番号、「6778074」をPatent
Numberの下ボックスに入力しても良い)
上記画面(右メイン画面)の「IPR2012−00001」をクリックすると経過書類(以下)が現れる。
(5)
LINKS |