Marquip, Inc. v. Fosber America, Inc., No.99-1025

判決:19991206

Wisconsin州の西部地裁からの上訴:

 

均等論適用の基に侵害の有無を検討するときに、その均等の適用幅を検討するときに被疑社製品を文言上含む仮想クレームを作成し、その仮想クレームが引例(公知技術)によって特許性があるか否かを検討し、もし仮想クレームの特許性が無いと判断されるとその仮想クレームによる均等幅は不適切であり、そのような均等幅での均等論の適用を受けないとした。 これは、1990年のCAFC判例 Wilson Sporting Goods Co v. David Geoffrey & Assoc., 904 F.2d 677, 683 (Fed. Cir. 1990)を再確認する判決である。 (Feb19,2000 commented by T.YABE)

 

(I) 要約

Wisconsin州西地区の地裁でFosber及びUnited Container Machinery社がMarquip社の米国特許第4,200,276号を均等論適用の基に非侵害であると略式判決を下した。本法廷によって当該判決が支持された。

 

(II) MARQUIPの米国特許:

Marquip社の米国特許第4,200,276のクレーム9とクレーム13は以下のようである:

 

USP 4,200,276 (Marquip)のクレーム9:

9. In the method of conveying sheets in succession from a first location along a plurality of separate in-line conveyors to a stacker wherein a vertical stack of a predetermined number of sheets is to be formed, and wherein said plurality of conveyors are traveling at the same speed, the steps of:

(a) shingling said sheets as they pass said location to form a group of shingled sheets for stacking,

(b) increasing the speed of said group of shingled sheets,

(c) and slowing each said separate in-line conveyor individually and seccessively [sic] in a downstream direction in response to passage of the trailing end of said group past the end of each respective separate conveyor to thereby slow sheets traveling upstream of said group of sheets.

USP 4,200,276 (Marquip)のクレーム13:

13. In a device for conveying sheets in succession from a first location along a plurality of separate in-line conveyors to a stacker wherein a vertical stack of a predetermined number of sheets is to be formed, and wherein said plurality of conveyors are traveling at the same speed, the combination comprising:

(a) means for shingling said sheets as they pass said location to form a group of shingled sheets for stacking,

(b) means for increasing the speed of said group of shingled sheets,

(c) and means for slowing each said separate in-line conveyor individually and successively in a downstream direction in response to passage of the trailing end of said group past the end of each respective separate conveyor to thereby slow sheets traveling upstream of said group of sheets.

被疑者製品:

Fosberの製品(Versions 1, 2, 3, & 4)

 

判例重要箇所和訳:

 

(前略)

 

均等論適用の基に侵害とする場合には、被疑製品がクレームの各構成要素或はその均等物を備えていなければならない。 See Warner-Jenkiinson Co. v. Hilton Davis Chem. Co., 520 U.S. 17, 40, 41 USPQ2d 1865, 1875 (1997) 被疑製品は、クレームされた要素との相違が、当業者にとって、非実質的なレベルである場合に、均等と言える。 Id. at 39-40; HIlton Davis Chem. Co. v. Warner-Jenkison Co., 62 F3d 1512, 1517, 35 USPQ2d 1641, 1644 (Fed. Cir. 1995) (en bank), reviewed on other grounds, 520 U.S. 17 (1997)

 

公共の領域に属したる技術に対して何れであっても排他権を行使できないという抜本的な原理に基づいて、本法廷は、均等論の適用が公知技術に及ぶのを防止するべく、その適用を制限した。 See Wilson Sporting Goods v. David Geoffrey & Assoc., 904 F.2d 677, 683, 14 USPQ2d 1942, 1948 (Fed. Cir. 1990) Wilson法廷において、当法廷は、引例が均等物の幅を制限する理由を説明した。 概説すると、本法廷は次の質問を投げかけた: もし均等論がクレームを拡大しないのであれば、どうして公知技術が均等物の幅を制限する必要があるのか? 当該質問に対して当法廷は、法廷はクレームの有効性を維持するためにクレームを拘束するのではなく、均等論の適用はクレームを解釈する過程ではないということである。 それはむしろ特許権者が、均等論の適用によって、権利者が本来特許庁から獲得することができなかったであろう領域を得ようとすることを防止することにある。 なぜなら引例とは発明者に与えられる排他権を制限するものであり、クレームの均等許可領域を制限するものである。

 

均等論適用を制限する手順を理解しやすくするために、本法廷は、被疑製品を文言上包括する権利範囲を有する仮想特許クレームを設定した。 See id.; Key Mfg. Group, Inc. v. Microdot, Inc., 925 F.2d 1444, 1449, 17 USPQ2d 1806, 1810 (Fed. Cir. 1991) 「均等物を考慮するときに常に実行する必要はないが、仮想クレームを設定するということは、.....引例によって生じる均等の適用幅に対する制限を理解しやすくなる。」 本法廷では、発明がなされた時点で、仮想クレームを設定し、その仮想クレームが引例に鑑みてPTOが許可していたであろうか否かを検討した。 See Wilson Sporting Goods 904 F.2d at 684 もしそのような仮想クレームが許可されていたであろうと判断されれば、引例は均等論の適用を阻止するものではない。 ところが、もしそのような仮想クレームが許可されていなかったであろうと判断されれば、それら引例は均等の適用を阻止することになる。

 

地裁は、Fosberの製品を包括するように均等論を適用することによって、Marquipの発明時点における公知技術(引例)を含んでしまうであろうと判断した。 さらに、当該地裁は、Vermes引例公報(USP4,040,618)は均等論適用可能幅を限縮するとした。

 

(中略)

 

従って、Marquip特許のクレーム9,13の構成要素(c)が均等論を適用するとFosber装置を包括すると解釈するのは不当である。 何故なら、そのようにクレームを解釈することによって当該クレームは引例(公知技術)によって特許性を喪失するからである。 See Wilson Sporting Goods, 904 F.2d at 684  事実、276特許の再審査経過においてもFosber装置がクレーム9,13を均等論を適用しても侵害しないことを示している。 276特許の再審査において審査官は、USPTO(特許庁)によって検討されなかったVermes引例を含む公知技術を検討した。 それらを検討した結果、審査官はクレーム9とクレーム13は各々の特徴(グループの後端部に応答して減速することに関するクレーム9の要素cとクレーム13の要素c)によって引例(公知技術)と識別されると判断した。 要するに、276特許の本質は、スタッカ−の負荷を除去する時間を稼ぐのに必要なギャップを生成するためにコンベヤーの速度変化を独占的に効用することにある。 Marquip III at 10(強調)

 

(中略)

 

Fosber装置(方法)が採用している技術(中断機構とコンベヤー速度変更)は既に公知になったものであるので、地裁がFosber装置及び方法は均等論を適用しても当該Marquip特許クレームを侵害しないとした法的判断は適切である。 See Sage Prods., Inc. v. Devon Indus., Inc., 126 F.3d 1420, 1423, 44USPQ2d 1103, 1106 (Fed. Cir. 1997) 従って、本法廷はFosberの均等論適用の基に非侵害であるという略式判決の申立てを支持する。

 

(IV) 結論:

 

 

(1) US Patent Related  (2) Case Laws  (3) Studying in USA (4) LINKS Home