Obama Administration Supports S515 (Patent Reform Bill)

 

2009年10月5日、通商産業省長官、Gary Locke氏はLeahy上院議員、Sessions下院議員および上院議員司法委員会の

主要メンバー宛に、Obama政権のS515(上院による特許法改正法案:2009年)に対する見解を書面で提示した。 

同見解によると、新政府は、S515は特許法改正案に基本的に賛同するとし、以下の推奨事項及びコメントを述べております。 

本年4月から実体的に進展していない同法案の審理にポジティブな動きを与えることになるかもしれない。

 

 

 Tatsuo YABE

  October 15, 2009

 

   

2009年10月5日、通商産業省長官、Gary Locke氏はLeahy上院議員、Sessions下院議員および上院議員司法委員会の主要メンバー宛に、Obama政権のS515(上院による特許法改正法案:2009年)に対する見解を書面で提示した。 

 

同見解によると、新政府は、S515は特許法改正案に基本的に賛同するとし、以下の推奨事項及びコメントを述べております。 

 

(1)       21世紀は、科学技術の革新が経済発展にとっての不可欠な原動力である;

(2)       立法と行政部の知財権(権利の獲得と権利行使)に関するアクションによって健全なる競争と継続的な技術革新を助長することが重要である。

(3)       21世紀の米国特許制度は知財保護を強化することで、技術革新と市場競争とを良好にバランスするものでなければならない。

(4)       グローバルな視点で米国における技術革新を助長することが重要であり、世界諸外国の特許システムと協調(Harmonize)することで、特許取得プロセスを簡略化し、より安価な法的費用でより速やかに権利を得られるように考察するべきである。

(5)       米国特許制度に、バランス、柔軟さ、及び、効率を持たせることが重要であり、それを実現するために、米国特許庁は資源、権限、柔軟さを持って革新的な知的財産に対して高品質の特許を付与するとともに、特許に値しない出願を拒絶しなければならない。

 

USPTOの庁費用に関して:

高品質で、且つ、迅速な審査を可能にするための財源を確保するために、USPTOに適切な庁費用を設定する権限を与えることに賛成する。

 

特許施行規則を制定する権限

特許施行規則および手続きを柔軟に運用していけるように、USPTOは少なくとも手続き関連の規則を決定する権限を持つべきである。

 

特許付与後の審理

成立した特許の有効性に対する問題が生じた場合に、訴訟の代替案として、より安価で、且つ、より迅速に解決できる手法を確立していく必要がある。 政府としてはS515で提案されている特許付与後の手続きは無用な訴訟を削減することに有効であると考える。 但し、同手続きを構築する上で、無用な遅延、あるいは、手続きの濫用を防止できるものにすることが肝要である。

 

先願主義への移行とそれに伴い変更される先行技術の規定:

先願主義への移行に賛同する。 結果として特許制度を簡略化でき、法的費用を削減し、公平性を改善し、諸外国の特許制度により調和するものとなる。 国際市場での流通がこれだけ増大した現代において、国内法の相違に対応するべく特許を取得することは時間の浪費と(人的、金銭的)資源の過剰投資を余儀なくさせる。 このように効率化の観点のみではなく、米国発明家の予想可能性、信頼性、及び、競争力を増すことにもつながる。 しかし新政府は先行技術の範囲(公知効用は米国のみか?等)およびグレースピリオドの取り扱いに関して議会と協同し、適切で公平性のある移行を実現していくつもりだ。

 

調査及び審査:

S515で提案されている調査および審査に対する項目には反対である。 何故なら、同改正案では、外国の特許庁が米国特許庁の審査結果を有効利用できるのに、米国は他国特許庁の審査結果の恩恵を受けられないようになる可能性が大である。 審査のバックログを減らすためにも諸外国の特許審査情報を効率よくシェアすることを検討することが重要である。

 

特許訴訟に対する管理・監督

特許された重要発明の侵害行為に対する公正な補償をしながら、損害賠償額が運に左右される賞金的なものになることを回避できるように、適切なロイヤルティに基づく損害賠償額の算出法理を明確化することを支持する。 S515の該当する条項と裁判所が蓄積した先例(判決)によって技術進歩に関与する構成者すべての利害をバランスすることができると考える。

 

故意侵害とそれに伴う損害賠償額の増大

故意侵害による損害賠償額を3倍まで増加することは特許法で保証(規定)されているが、故意侵害の故意の基準は規定されていない。 侵害訴訟において故意侵害の訴えが過度に利用されており、被告側はそのディフェンス(故意を否定)のために多大な費用出費を余儀なくされているという問題がある。 対応するS515の条項に基本的に賛同するが、議会と協働し、公正な損害賠償額の算定手法を確立出来るように条文の文言を明確にすることを希望する。

 

その他:

- USPTOの審査官の勤務可能地を拡大するために(ワシントンDC近傍だけではなく)、

    テレワークテスト(遠隔地でもネットワークを通して勤務を可能にする)を実施することに賛同する。 

- 発明者の宣言書の要件を緩和し、譲渡人のみによる出願を可能にすることに賛同する。 

- 情報提供の機会を設けることを支持する(権利付与前の第三者による情報提供)。 

- 先使用権をビジネスモデル特許以外に対しても有効なディフェンスとして活用できるようにすることを支持する。 

- ベストモード開示要件違反に対する制裁を無くすことに賛同する。 

- 中間控訴(クレーム解釈が決定された後、地裁の判決を待つことなくCAFCに控訴を可能にすること)の機会を制限することに賛同する。 

- 裁判管轄地に関わる意義申立てに対する良好な取り扱いを決定した昨今の判決を条文化することを支持する。 

- 連邦地裁の判事の特許に対する理解を向上するためのパイロットプログラムの実施に賛同する。

 

 

矢部達雄

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