米国特許改正法(H.R. 1249)

2011916日に大統領署名成立!

Bill Signing Ceremony

at Thomas Jefferson  Sci & Tech High School:

 

Revised on September 27, 2011 (Examples of New 102 Provision Added)

Revised on September 16, 2011

Revised on September 15, 2011

Summarized on September 10, 2011

By Tatsuo YABE  

 

201198日、下院法案(HR1249)が899(上院)の投票結果で可決。 916日に大統領がバージニア州Thomas Jefferson (Sci & Tech)高校にて署名し、本改正法が成立! 

 

重要な改正点は以下を含みます:

 

(1) 先発明者による先願主義: (施行日:大統領署名日から起算して18か月経過後) Examples

-      102(a)(1): 基本的には有効出願日(優先日があれば優先日)を基準としてその前の刊行物、公然使用、販売行為が引例となる。 (例外:102(b)(1)(B))但し、当該先行技術の公開日の前に発明者(及び発明者から発明の情報を得た者)による発明の公開がある場合には当該引例は引例の地位を喪失する。

-      102(a)(2): 本件米国特許出願の有効出願日の前に、有効出願日を有する他人による米国出願が引例となる。 (例外: 102(b)(2)(B))但し、当該引例の有効出願日の前に発明者(及び発明者から発明の情報を得た者)による発明の公開がある場合には当該引例は引例の地位を喪失する。 

-  発明者(及び発明者から発明の情報を得た者)による発明の公開日より1年以内であれば米国出願でき(発明者に1年のグレースピリオド保障)、当該発明者による発明の公開日から有効出願日までの期間に先行技術がある場合には、それら先行技術の引例の地位を否定できる。

(2) 冒認手続き: (施行日:大統領署名日から起算して18か月経過後)

インターフェアランス手続きは廃止する。 その代りに、真の発明者を審理する(冒認出願ではないかを審理する)手続きを設ける。

(3) 虚偽表示者に対する訴訟当事者の適格性: (施行日:★)

基本は、@米国政府とA虚偽表示によって被害を被った者のみが訴訟当事者の適格性を有する。

(4) 発明者の宣誓書: (施行日:注記なし)

発明者が出願時の宣誓書に署名を拒む場合に譲受者による特許出願を簡易にした。

(5) 先使用による抗弁: (施行日:★)

現行法ではビジネス手法特許にのみ抗弁を認めているが、改正法はすべての技術分野に先使用の抗弁を認める。 有効出願日の1年以上前に、米国における商業上の使用・販売を証明すること。

(6) 弁護士の助言: (施行日:注記なし)

弁護士の助言を得ていなかったという事実を故意侵害認定の判断材料としない。

(7) 特許付与後の無効手続き: (施行日:注記なし)

(7-A) IPR: 特許付与後9か月以降(或いは異議申立てが終了してから)であれば当事者系再審査を請求可能。 (施行日:★) 無効理由は102条と103条に基づく。 現行の当事者系再審査制度に置換される。 現行の査定系再審査制度は維持される。 -- Revised on Oct 24, 2011 (Sorry about this error)

(7-B) PGR: 特許付与後9か月以内であれば異議申し立て可能。 無効理由は102条、103条、101条、112条に基づく。

(8) 付与前の情報提供: (施行日:注記なし)

特許出願公開後6か月、或いは、第1回目のOA発行日の何れか遅い日までであれば何人も刊行物を基に情報提供可能。

(9) マイクロエンティティの設定: (施行日:★)

過去に5件以上の米国出願をしていない小規模事業者はマイクロエンティティとして米国出願可能(特許庁費用が75%OFFとなる)。

(10)        補助審査: (施行日:注記なし)

出願審査段階で特許庁に提出されなかった情報(或いは間違って伝えた情報)を基に補助審査を請求可能。 補助審査の後、再審査が実施され、当該情報が特許庁で検討された後には特許は権利行使不能とはならない。 補助審査の対象となる特許は2012年9月16日以降に成立する米国特許だけではなく、その前に成立した米国特許を含む全ての米国特許。 -- added Oct 24, 2011

(11)        ベストモード要件:(施行日:★)

現行112条第1項のベストモード要件は変更ないが、訴訟において「ベストモード開示要件」は無効理由を構成しない。

(12)        3つ以上の米国特許庁の支所設立:

新法成立後3年以内に3つ以上の支所(米国特許庁の衛星オフィース)を設立する。 一つ目の支所はミシガン州のデトロイト支所(McCoy米国特許商標庁)。

 

               (施行日:★)= 大統領署名の日(2011916日)から施行

              (施行日:注記なし)=大統領署名から1年経過(2012916日)後に施行

 

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以下連邦議会で可決され、916日に成立したHR1249の概要

 

条文    

 

改訂内容  

コメント:

35USC 102 

新規性  

First Inventor to File (先発明者による先願主義)

102(a) - Examples

以下の要件に該当する場合にはクレームされた発明を特許することはできない(新規性の喪失)

(a)(1)   クレームされた発明が、有効出願日(*1a)の前に特許されるか、刊行物に開示されているか、公知、あるいは、販売された場合;

  或は、

(a)(2) クレームされた発明が、その有効出願日(*1a)の前に、他の発明者を含む特許出願願書が有効に出願され、米国特許法151条に基づき発行された特許、あるいは、同法122条b項に基づく公開公報に開示されている場合; 

 

102条(b)項 (新規性喪失の例外規定) - Examples

(b)(1)       先の発明者による開示による例外規定:

    当該開示が、有効出願日1年以上前のものではない場合に、当該開示が以下の要件に該当する場合には当該開示内容(a)(1)項の引例としない:

A  @発明者或いはA共同発明者、または、Bこれらの者より発明主題を入手したる者による開示の場合;

B  (a)(1)項の開示の前に上記@、A、Bの人によって公開されている場合;

(b)(2)      米国出願或いは米国特許の開示であっても、以下の要件を満たす場合には上記(a)(2)の引例としない;

A   当該開示(発明主題)が@、Aの人による場合;

B   当該開示(発明主題)を有する米国出願の有効出願日の前に、@、A、または、Bの人によって公開(publicly disclosed)されている場合;

C   当該開示(発明主題)およびクレームされた発明が、「有効出願日」の前に、同一人に所有される、或いは、所有される義務下にあった場合;

(c)       共同開発の合意に基づく例外規定 - Examples

以下の3つの要件(1)、(2)、(3)の全てを満たす場合には上記(b)(2)(C)でいうところの同一人に所有される、あるいは、同一人に譲渡する義務があったとみなす:

(1)    当該開示およびクレームされた発明とが、クレームされた発明の「有効出願日」あるいはその前に共同開発の合意がなされ、該共同開発に基づき発明がなされた場合;

       (2) クレームされた発明が共同開発の合意の範疇で実施された行為から派生したる場合; 及び

       (3) クレームされた発明を含む特許出願が共同開発の合意をしたる当事者を示す場合、あるいは、同出願が補正され共同開発の合意を示す場合;

 

(d) 上記(a)(2)で規定する先行技術としての米国特許あるいは米国特許出願は以下の場合に、「有効に出願された出願日」とする。 - Examples

   ⇒ (1) 以下の(2)に該当しない場合であって、米国特許あるいは米国特許出願が米国特許庁に出願された日;

   ⇒ (2) 米国特許あるいは米国特許出願が119条、365条(a,365(b)の基に優先権を主張する場合、あるいは、120条、121条、さらには365(c)の基に優先権を主張する場合には、発明主題を開示したる最先の出願の出願日

     

 

発明者自身の公開から1年間のグレースピリオドを維持するものの、それ以外は『有効出願日(*1a)』基準とする先願主義。

 

(a)()項の公知、販売は米国に限らない。

 

(a)(2) 先行技術が、米国特許出願公開公報(或は米国特許公報)の場合で、同米国公報が日本出願から優先権を主張している場合には日本出願日において引例の地位を得ることになる。 現行では米国出願日(日本出願より優先権を主張していても)でしか引例の地位を得ることはできない。

 

注意:     

(*1a): 有効出願日(1*a)』とは米国出願日或いは優先権主張日(日 ⇒ 米出願の場合)のどちらか早い方;  

⇒ 現行米国特許法102条b項では米国出願日を基準(優先日ではない)。 

 

⇒ 自分の発明に関しては公開後、1年のグレースピリオドは保証される。 言い換えると、自己の発明を公開した後であっても公開後1年以内であれば有効出願日を有する米国出願可能。 言い換えると発明者は自己の発明を公開後1年以内に、日本特許出願(有効出願日を確保する目的のためだけに)を実施し、その後1年以内にパリ優先の下に米国出願をすることも可能である。

 

⇒ 自分の発明を公開して1年以内に「有効出願日」を獲得すると、発明の公開日から有効出願日の間に他人による発明主題の公開があったとしても当該公開物は引例の地位を喪失する。 即ち、米国特許を得ようとする発明主題を早期に公開(public disclosure)することでその公開日が引例となるか否かを判断する起算日となる。 但し、殆どの諸外国においては発明を公開してから特許出願をすることはできない。

 

施行日: 大統領署名日(2011916日)から起算して18か月経過日(2013316日)以降に「有効出願日」を持つ米国特許出願に適用。

35USC 103

自明性  

A patent for a claimed invention may not be obtained, notwithstanding that the claimed invention is not identically disclosed as set forth in section 102, if the differences between the claimed invention and the prior art are such that the claimed invention as a whole would have been obvious before the "effective filing date" of the claimed invention to a person having ordinary skill in the art to which the claimed invention pertains.  

Patentability shall not be negated by the manner in which the invention was made.

    実質的に現行特許法第103(a)項と同じ。

 

103条の(b)バイオ関係の項、適応例外規定の項などを削除し、実質は現103(a)項のみとなる。 但し、現行の発明日を基準とするのではなく、「有効出願日基準」で自明性を判断することになる。  

施行日: 大統領署名日から起算して18か月経過(2013316日)以降に「有効出願日」を持つ米国特許出願に適用。

35USC 112(1)

明細書・クレームの記載要件  

変更なし。

但し、訴訟における無効理由として112条第1項のベストモード開示要件は使用できない。 ⇒ 改正282条(3)項参照

35USC 291

Derived Patents (民事訴訟)

同じ発明をクレームしている米国特許B(有効出願日が特許Aより早い)の権利者に対して、同発明主題は本件特許A(有効出願日が特許Bより後)の権利者から取得したとして訴訟を提起できる。

 

米国特許B成立後1年以内を出訴期限とする。(1年以内に訴訟を提起すること)

 

35USC 135

 Derivation Proceedings

(対特許庁: 冒認立証手続)

同じ、或いは、実質的に同じ発明主題をクレームしている他の米国特許出願B(有効出願日が特許出願Aより早い)の出願人に対して、同発明主題は本件特許出願A(有効出願日が特許出願Bより遅い)の出願人から取得し、同人の了解を得ることなく出願したとして冒認手続きを申請できる。

 

同一或いは実質的に同一のクレームを含む米国特許出願A公開後1年以内に冒認手続きを申請可能。

  -- Revised on Nov 10, 2011 (Sorry about this error)

(以下省略する)

⇒ インターフェランスの条文は削除(「Derivation:冒認」と言う条文に変更)  

現行米国特許法のインターフェランス手続きのような当事者間での発明日の遡及の争いはなくなる。

施行日: 大統領署名日から起算して18か月経過した日(2013316日)

35USC115

発明者の宣誓書 

(a) 発明者の名前と発明者の署名

(b) 発明者は以下の内容に対して宣誓しなければならない:

(1)       特許出願願書は宣誓人によって、あるいは、宣誓人の許可の下に作成された;

(2)       宣誓する者は特許出願でクレームされた発明の真の発明者あるいは真の共同発明者であると信じる;

(c)  特許庁長官の要請に基づく追加情報に関する項

(d)  代替文書

(1)但し、以下の場合には出願人は、発明者の宣誓書の代わりに代替文書を提出することはできる:

(2) 代替文書が許容される状況

A)発明者が(i) 死亡、(ii) 法的能力を欠く場合、或は、(iii) 誠実な努力をするも発明者にアクセスできない場合; また

B) 発明者は発明を譲渡する義務を負っていながら宣誓書に署名することを拒んでいる場合 

(3)  代替文書は:

A) 署名を貰えない発明者の特定;

B) 署名を貰えない事情の説明;

C) 特許庁長官の要請に基づく追加情報;

(以下、省略する)  

 

 

宣誓書からIDSの開示義務を周知しているという文言が消えた(?)

35USC 118

発明者以外による出願  

発明者がすでに譲渡した人、或いは、発明者が譲渡する義務を負う人(譲受人)による特許出願許容  

 

 

35USC 273 

先使用の抗弁  

以下の状況を満たすときには、282条(b)項に基づく先使用の抗弁を行使できる:

(1)  米国において善意で発明主題を商業上使用或いは販売している;

(2)  上記商業上の使用は以下の日より1年より前から実施されている;

A   クレーム主題を含む米国特許出願の出願日; または

B   102条(b)項の例外規定に基づく発明主題の公開日

先使用の抗弁を行使する側が「明白且つ説得性のある証拠」に基づく挙証責任を負う。

 

(以下省略する)

全ての技術分野において米国での商業上での公然実施に基づき先使用の抗弁可能(現行法であるビジネス手法に限定されない)

 

 

施行日: 大統領署名日(2011916日)およびそれ以降に成立した特許に対して適用可能 

35USC301

Citation of Prior At & Written Statements

何人も、何時でも、米国特許庁(PTO)に以下の情報を書面で提出可能:

* (a)(1) 特許されたクレームの何れかの特許性に影響を及ぼすと思える特許或いは刊行物; あるいは、

* (a)(2) 特許権者がPTO或は連邦裁判所に提出した書面で特許クレームの権利範囲に関わるもの;

(b) 上記提出された情報は特許の経過書類の公式な記録となる。

(d) 上記(a)(2)で提出された情報は304条、314条、324条(査定系再審査、当事者系再審査、異議申し立て)におけるクレームの意味の解釈にのみ使用される。

(e) 匿名で情報提供可能

 

35USC311-319

 

 

 

 

 

当事者間におけるレビュ

IPR: Inter Parte Review

311: Inter Parte Review: (IPR

特許証(再発行特許を含む)が発行された後、9か月以降或いはPGRの終了後であれば、特許権者以外の者は102条または103条の無効理由(★特許、或いは、刊行物のみ)に基づき、特許されたクレームのいずれかを無効にするための当事者系レビュ手続き(以下IPR)を請求することができる。 注意:以下321条に基づくPGR(Post Grant Review)が係属中の場合にはPGR手続きの終了日までIPRを請求できる。 Revised on Oct 24, 2011

 

312: Petitions:

IPR手続きは以下を満たす場合に可能となる:

 手続き費用;

 無効を請求する実際の人(匿名はNG);

 無効を請求する特許とクレームの特定と無効の根拠となる情報の提示;

 上記情報の全てを特許権者に提供すること;

313: Preliminary Response to Petition:

特許権者は上記申請書に対して予備的な応答をすることができる。

314: Institution of inter parte review

少なくとも一つのクレームの無効を申請する者が勝訴する合理的な見込(“reasonable likelihood”)があると判断された場合にIPRの手続きが開始される。

315: Relation to other proceedings or actions:

 当事者間で既に民事訴訟が開始されている場合にはIPRはできない; IPRが開始された後に民事訴訟が提起された場合には民事訴訟の進行を中断する。(詳細な訳は省く)

 IPRの対象となる特許に対して米国特許庁における他の手続きが実施されている場合には、長官はどの手続きを中断するか、或いは、どの手続きと統合するかを決定する。

[禁反言]

― 対特許庁: 申請者が提起したこと、及び、合理的に提起できたであろうことを根拠に再度特許庁に申請することはできない;

― その後の訴訟: 申請者が提起したこと、及び、合理的に提起できたであろうことを再度提起することはできない;

 (詳細な訳は省く)

316: Conduct of Inter Parte Review:

長官は本手続きに関わる証拠提出など、各種規則を設定すること;

特別の理由のない場合には、IPR手続きは請求されてから1年以内に最終結論を出すこと;

特許権者に応答する機会を与える。 IPR請求人にも少なくとも1回の書面応答の機会を与える。 口頭審理に参加する権利を与える。

特許権者は問題となるクレームをキャンセルするか、それに代わる妥当な数の補正クレームを提出可能。 特許権者はクレームを拡大補正できない。

317: Settlement

IPR請求人と特許権者が和解に合意(和解書面の提出要すればPGR手続きを終了する。

318: Decision of the Board

IPRが開始され、中止されない場合には、PTAB(Patent Trial and Appeal Board)IPR請求人により無効を主張されたクレームと316条で追加された補正クレームの特許性に対する最終結論を書面で出す。

319: Appeal

PTABの最終判断に対してCAFCに控訴(141条から144条に基づく)可能である。

 

現行の当事者系再審査手続き(311条〜318条)は左記のIPRに変更。

 

依って当事者系による再審査は特許証発行後9か月という限られた期間に限定される。 PGRの終了後或いは付与後9か月経過後にIPR可能(2011年10月24日訂正)

 

尚、305条の現行の査定系再審査は維持される 但し、査定系再審査の結果に不服な当事者はDC地区裁判所に控訴(145条)はできなくなった。 勿論、CAFCへ控訴する道(141条〜144条)は残されている。

 

35USC321-329

特許付与後の無効申請手続き(異議申立て   

Post Grant Review

321: Petition for post-grant review

特許証(再発行特許を含む)が発行された後、9か月以内であれば、特許権者以外の者は282(b)項の(2)または(3)の無効理由に基づき、特許されたクレームのいずれかを無効にするための付与後特許無効手続(以下PGR)きを請求することができる。

322: Petition

無効手続きは以下を満たす場合に可能となる:

― 無効請求手続き費用;

― 無効を請求する実際の人(匿名はNG);

― 無効を請求する特許とクレームの特定と無効の根拠となる情報の提示;

― 上記情報の全てを特許権者に提供すること;

323: Preliminary Response to Petition

特許権者は上記請求者に対して予備的な応答をすることができる。

324: Institute of post-grant review

無効を請求(申請)する対象となるクレームの一つが無効になる可能性の方が高い(more likely than not)と判断された場合に付与後異議の手続きが開始される。

325:  Relation to other proceedings or action

― 当事者間で既に民事訴訟が開始されている場合にはPGRはできない; PGRが開始された後に民事訴訟が提起された場合には民事訴訟のほうを中断する。(詳細な訳は省く)

― PGRの対象となる特許に対して米国特許庁における他の手続きが実施されている場合には、長官はどの手続きを中断するか、或いは、どの手続きとを統合するかを決定する。

[禁反言]

― 対特許庁: 申請者が提起したこと、及び、合理的に提起できたであろうことを根拠に再度特許庁に申請することはできない;

― その後の訴訟: 申請者が提起したこと、及び、合理的に提起できたであろうことを再度提起することはできない;

 (詳細な訳は省く)

326: Conduct of post-grant review proceedings

長官は本手続きに関わる証拠提出など、各種規則を設定すること;

特別の理由のない場合には、PGR手続ききは請求されてから1年以内に最終結論を出すこと;

特許権者に応答する機会を与える。 PGR請求者にも少なくとも1回の書面応答の機会を与える。 口頭審理に参加する権利を与える。

特許権者は問題となるクレームをキャンセルするか、それに代わる妥当な数の補正クレームを提出可能。 特許権者はクレームを拡大補正できない。

327: Settlement

PGR請求人と特許権者が和解に合意(和解書面の提出要すればPGR手続きを終了する。

328: Decision of the Board:

PGRが開始され、中止されない場合には、PTAB(Patent Trial and Appeal Board)PGR請求人により無効を主張されたクレームと326条で追加された補正クレームの特許性に対する最終結論を書面で出す。

329: Appeal

PTABの最終判断に対してCAFCに控訴(141条から144条に基づく)可能である。  

 

101条、112条、102条、103条を含む全ての無効理由を基にPGR(Post Grant Review)を申請できる。

 

 

異議申立ての申請の方が認められやすい。 要は、more likely than not(証拠の優越性のレベル)で一つのクレームの無効を主張できれば良い(324条)。

当事者系レビュが認められるには申請者のreasonable likelihood of prevailが要求される(314条)。

35UCS 6

PTAB

PTAB (Patent Trial and Appeal Board)

Board of Patent Appeals and Interferences Patent Trial and Appeal Boardとする。

特許庁にPatent Trial and Appeal Board(特許トライアル&審判部)を設ける。 同特許トライアル審判部は審査官の審査結果、再審査、冒認手続き、および、付与後無効手続きの決定を審理する。

 

35USC122(e)

を現122条に追加する。

3者による情報提供 

3者による情報提供(特許、特許出願公開公報、或いは刊行物)は、以下の(A)と(B)の何れか早いほうの日の前であれば可能である:

A) 特許査定の郵送日; 又は、

B (i) 122条に基づき特許出願が公開されて6ヶ月以内; 或は (ii) 132条に基づく最初の拒絶理由通知が発行された日の何れか遅いほう  

現行法では公開後2か月と余りにも期間が短い、且つ、コメントできないのでほとんど活用されていない。

施行日: 大統領署名日(2011916日)から起算して1年経過後(2012916日)に施行し、同日、その前後に出願された米国特許出願に適用する

35USC123

Micro Entity

小規模事業者に該当し、且つ、過去に5件以上の米国出願をしていない事業者をマイクロエンティティと称する。 特許庁費用を75%減額する(35USC10(b)

 

庁費用が4分の1になるという恩恵を受ける。

施行日: 大統領署名日(2011916日)より

35USC 10

Fee Setting Authority

米国特許商標庁は、米国特許法及び1946年の連邦商標法に基づく費用を設定する権限を有する。施行日: 大統領署名日(2011916日)より

電子出願を推奨するために紙による特許出願(意匠及び仮出願は除く)は400ドルの超過費用! 

 

今後「紙出願」は400ドルの超過費用!施行日: 大統領署名日より60日経過後 20111115日)

35USC 41

Fees for Patent Service

A. General:

(1)   Filing a non-provisional application -- $330

(2)   Excess Claim Fees

-      $220 for each Ind-claim in excess of 3 Ind-claims

-      $52 for each Claim in excess of 20

-      $390 for an application with a multiple dependent claim

(3)   Exam Fees --$220

(4)   Issue Fees -- $1510

(5)   Appeal Fees -- $540

(6)   Revival Fees – $1620 (unintentional ground)

B. Maintenance Fees:

 - 3.5Yrs – $980

 - 7.5 Yrs – $2480

 - 11.5 Yrs - $4110

C. Patent Search Fees

 - $540

Others:

Prioritized Exam Fee (優先審査)

4800ドルの支払いで優先審査(大統領署名後10日後に実施可能);

合計独立クレーム4項以内で、合計クレーム数は30項以内。

 

施行日: 大統領署名日(2011916日)より

35USC41(i)(1)(A)

35USC41(i)(2)(A)

Surcharge

特許庁費用増

上記優先審査の費用を除いて全ての項目に対して15%増とする。

施行日: 大統領署名より10日経過後 2011926日)

施行日: 大統領署名日より10日経過後 2011926日)

35USC 257

Supplemental Exam

(補助審査)

(a) 特許権者は特許の有効性に関わる情報を特許庁に検討してもらうために「補助審査: Supplemental Exam」を請求することができる。 当該請求を受け3か月以内に、特許庁長官は提供された情報が特許の有効性に新規なる疑義を呈するものか否かを判断し、返答する。 

(b) 補助審査請求で提出された情報によって少なくとも一つのクレームの有効性に実質的に新規な疑義(substantial new question of patentability)が生じると長官が判断した場合には、特許庁は再審査を開始する。 但し、当該再審査においては、特許権者は304条(通常の査定系再審査)で保障されている意見書を提出する権利はない。

(c)(1) 出願の審査段階で提出されなかった情報、間違って伝えられた情報、或いは、正しく審査されなかった情報が、補助審査において検討された場合には、当該情報を理由として、問題となる特許は権利行使不能とはならない。 

補助審査を請求することと、特許の権利行使可能性とは関係ない。

(c)(2) 例外

(A) 略す。

(B) 訴訟が開始された後に、権利行使不能の理由に対する抗弁として、特許権者が「補助審査」を請求することはできない。 「注意: (c)(1)の恩恵を受けるには、特許権者は訴訟前に気になる情報を特許庁との間でクリアにしておくこと。」

(d) 費用と規則 (特許庁にて決定すること) 詳細は略す。

(e) 補助審査或いは再審査手続き中に問題となる情報に関して出願審査中に「重大な不正行為(Fraud」が行われたことが判明した場合に、特許庁長官は、すべてのクレームをキャンセルすること、司法長官(Attorney General)に通告することも含めて、いかなるアクションを取ることも可能である。

 

 Therasense v. Becton2011525日)CAFC大法廷判決によって、既に情報開示義務違反による不公正行為の認定の基準が高くなった(無暗矢鱈にIDS開示違反の抗弁を活用できなくなった)

 

 

 

 

施行日: 大統領署名日から起算して1年経過後(2012916日)に施行し、同日、その前後に成立した特許に適用可能。

35USC 282(3)

Best Mode

282条(3)項の特許の無効理由として112条の要件(実施可能要件、サポート要件、ベストモード開示要件)からベストモード要件を省く。 

ストモード開示違反は特許訴訟において無効理由にならない

施行日: 大統領署名日(2011916日)より

35USC 287(a)

Virtual Marking

patent’(或いは’pat‘)と無料でアクセスできるインターネットのURL(関連する特許番号を記載している)を特許対象製品に表示することで特許のマーキングとなる。

より現実的な特許番号の表示ができるようになる。

施行日: 大統領署名日(2011916日)より

35USC 292(a)-(c)

False Marking

(虚偽表示)

292(a)項に基づく民事訴訟): 米国政府のみが虚偽表示をする者に対して292(a)項の罰則規定に基づき訴訟を提起できる;

(民事訴訟): 虚偽表示によって競合上の損害を被った者は連邦地裁に損害賠償を求め裁判を提起できる。

292(c): 製品をカバーする特許であるが、有効期限を過ぎたる特許のマーキングがある場合には本条文における虚偽表示には該当しない。

現行法では何人も虚偽表示者に対して訴訟(qui tam action)を提起できると規定されており、qui tam訴訟が氾濫している。

施行日: 大統領署名日(2011916日)に係属中の訴訟、及び、同日以降に提起される訴訟に適用する。

35USC 298

Advice of Counsel

(弁護士の助言)

侵害者が弁護士の鑑定(助言)を受けていなかったという事実、或いは、そのような助言を証拠として提出できないという事実を、故意侵害あるいは侵害行為を誘発する意図を証明するために使用できない。

2007821日のIn re Seagate判決CAFC大法廷判決:「故意侵害の認定には少なくとも客観的な無謀性を立証する必要がある」)と整合性を持たせた。

Section 23.

Satellite Offices 

予算が認められることを前提として、本法の制定後3年以内に特許庁長官は3つ以上の支所(米国特許庁の支所)を設立する。

 

Section 24

Designation of Detroit Satellite Office 

上記3つ以上の支所の第1支所はミシガン州デトロイトに設立する。 当該支所を Elijah J. McCoy米国特許商標庁と名付ける。

 

35USC 35

施行

上記各条文において施行日の注記がないものは本法の制定後(2011916日)1年経過とともに施行し、同日以降に成立した特許に新法を適用する。 

 

 

 

 

 

 

改正法案の原文は以下URLを参照ください。

http://admin.aipla.org/resources/reports/AIPLAreports2011/Documents/SenPassedHR1249.pdf

 

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