|    Supreme 
      Court will review Fed. Cir. en banc Decision in CLS Bank Alice 
      Corp. v. CLS Bank Int’l December 06, 
      2013      Summarized by Tatsuo YABE  December 11, 2013   | 
  
2013年12月6日、合衆国最高裁はAlice(特許権者)の裁量上告(Petition for A Writ of Certiorari)を認めた。
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| Petitioner's Brief (Alice Corp.) | Respondent's Brief (CLS Bank Int'l) | 
| Petition for A Writ of Certiorari QUESTION 
      PRESENTED  | QUESTION 
      PRESENTED Absent 
      an inventive concept, a method of performing well-understood economic 
      activity is not patent-eligible under 35 U.S.C. § 101. Bilski v. Whether 
      the en banc Federal Circuit correctly affirmed the district court’s 
      judgment that all of the | 
2013年5月10日、Alice 
Corp. v. CLS Bank大法廷判決において10人の判事による5つの意見が出された。 過半数による多数意見は成立せず、5人の判事を代表してLourie判事による意見がPer 
Curium(大法廷判決とする)の判決となった。 問題となったのは4つのAlice特許であって、それらの明細書は略同一内容で、当事者間の商取引における契約の締結時と履行時がずれることに起因するリスクを回避するために第3者(Supervisor)を介在させるというビジネス手法に関するもので、その方法、記憶媒体、及び、システム形式のクレームの101条適格性が争われた。
Lourie判事の意見(5人の意見)は101条の文言から説明するも、結局のところがMayo判決(2012年最高裁判決)の判決文の中で頻出する「自然法則の利用に着眼する方法クレームにおいて、当該クレームの自然法則以外の他の特徴、或いは、その組み合わせによって自然法則自身を遥かに超えたものに特許がなっていることを101条の要件とする」という箇所、あるいは、それに類似する箇所を引用し、 
}  
(*1) And they insist 
that a process that focuses upon the use of a natural law also contain other 
elements or a combination of elements, sometimes referred to as an “inventive 
concept,” sufficient 
to ensure that the patent in practice amounts to significantly more than a 
patent upon the natural law itself. (Mayo v. Prometheus Lab: Supreme Court 
Decision, March 20, 2012, Opinion page 3) 
まずは、方法クレームの101条保護適格性を検討するにあたり、特許保護適格性の例外として@自然法則、A自然現象、B抽象的なアイデアを示し、Alice特許方法クレームは抽象的なアイデア(商取引において第3者を介在させてリスクを軽減する)を基礎とするものであって、当該抽象的なアイデアを顕著に超える(significantly 
more than)ための他の特徴が方法クレームに規定されていないという理由で101条の適格性を否定した。 
記憶媒体及びシステムクレームに対しても、保護適格性を否定した方法クレームと実の内容部分が同じであるとし、且つ、クレームドラフティングの上手な人によれば方法クレームを基に記憶媒体形式或いはシステム形式のクレームに書き換えることは容易であるという理由で、それら記憶媒体およびシステムクレームの保護適格性をも否定した。 問題となったシステムクレームはコンピューターおよびメモリーユニットなどとも結合し、Lourie判事に代表される5人の判事以外は101条の特許保護適格性を認めている。 
ここまで大法廷判決で判事の意見が分かれた判決は筆者の記憶にはない。 
しかしその理由は、そもそも今回の大法廷判決が混乱した根本の原因がBilski合衆国判決であり、最も顕著なのはMayo合衆国最高裁判決による判示にある「significantly 
more than …(自然法則に追加されたクレームの特徴によってクレームが自然法則を顕著に超えたものになる)」であり、さらに、発明概念(inventive 
concept)を101条の解釈に盛り込んだことである。 そもそも発明概念(inventive 
concept)という用語は、1978年のFlook合衆国最高裁判決で101条の解釈に関して初めて引用された文言であり、わざわざこのような用語を合衆国最高裁はMayo判決で引用した。 最高裁及び今回の5人判示(Lourie判示)の意見において101条判断基準と102−103条判断基準とは明瞭に識別されるものであると述べてはいるが、我々実務家にとってはまったく釈然としない。
  
上記のように、CAFCの大法廷意見がここまで混乱した最大の理由は合衆国最高裁のBilski判決とPrometheus判決に他ならない。 依って、今回混乱の原因をつくった源である合衆国最高裁が自身の縺れた法理論にどこまで整合性を持たせるような判示を出せるかが見ものである。 然し、過去の特許重要案件に関わる最高裁判決(DOEに関するFest判決、自明性に関するKSR判決、101条に関するBilski判決とPrometheus判決)において最高裁の関与によってクリアになったものはない。 拠って、多くを期待することはできない。
  
従って、ビジネスモデル以外の通常の技術発明を扱う実務家は一連の101条関連の判決(Bilski; 
Prometheus; CLS Bank)をあまり気にせずにクレームドラフティングをすることが妥当と考える。 審査において、万が一、101条拒絶を受けた場合には、一番要(かなめ)になる反論の仕方としては、Mayo判決後にInterim審査ガイドラインで述べられたように「自然法則」を利用するクレームにおいて「自然法則」以外の他の特徴をクレームに追加したことによって、「自然法則」自身を遥かに超えたクレームになっており、「自然法則」自身に排他権を望むものでは決してないという結論に帰結するように反論するのが現実的な対応策であると考える。 注意:「自然法則」を「自然現象」あるいは「抽象的なアイデア」に置換することで同様の反論が可能。 
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