米国特許庁は出願人が出願を

1件捨てることで他の1件を早期審査するという

プラグラムを6月24日から開始

 

Expedite Examination based on Abandonment of One Application:

 

 

米国特許庁は審査のバックログを減らすため、苦肉の策として、出願人がその米国出願のひとつを

放棄することによってその代わりに同一出願人の他の一つの米国出願の審査を早期に行うという

プログラムを2010年6月24日付けで開始した。 対象となる米国特許出願は2009年10月1日

以前の出願であり、同一企業(同一出願人、或いは、発明者の一人が同一)に対して本年暮れまでに

15件に制限するということである。 考えても見ると、米国出願件数はトップ20社で全体の大部分を

締めており、合計300件(15件X20社)の出願が放棄されたところで米国特許庁が抱えるバックログのシリアスな

問題を解消できる可能性は将に、「焼け石に水」である。 

 

もう少しまともなインセンティブを考えないと、出願審査のバックログ解消に対する実質的な

対策にはならないことは、明らかである。 しかし、出願人とっては、このプログラムを利用し、特に重要な

特許出願審査を重要度のかなり低い出願を放棄することによって早期に実現するという

恩恵を被れると判断される場合にはトライ(活用)する価値はあると思料します。

 

 Tatsuo YABE

  June 28, 2010

 

   

 

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Expedite Examination (早期審査)

米国特許庁は以下の条件を満たすときに早期審査をすることを決定した。

(1)       出願人(譲受人)同一、或いは、発明者の一人が同一の米国出願1と米国出願2がある場合に、同米国出願1を放棄することによって同米国出願2の審査を早期審査(Special status)とする;

(2)       米国出願1および米国出願2は2009年10月1日以前に米国出願(あるいはPCT国内移行)されたものである;

(3)       同一出願人にとって合計15件まで早期審査が認められる、(但し、2010年12月31日までにPTOに対する早期審査請求が合計10000件まで);

(4)       米国出願2に対する電話での限定要求に反論せずに応じることに同意する;

(5)       放棄された米国出願1の回復申請をしない、或いは、それを基礎として継続出願をしない;

(6)       放棄する米国出願1の出願費用に掛かる費用の払い戻し(Refund)を請求しない;

上記要件に同意できる場合には、米国出願1を放棄したという証拠を提示し、米国出願2に対する早期審査請求を実施できる。 但し、早期審査のメリットは第1回目の拒絶通知の発行される日までであって、その後の出願人とのやりとりに対しては必ずしも早期審査の恩恵を受けるとは限らない(然し、現行のPTOでの審査の遅れ、例えば、ある技術分野では第1回目の拒絶通知の発行に約3年掛かっているので、確実に第1回目の拒絶通知の速やかな発行という意味ではメリットあり)。

上記早期審査の恩恵を受けられるのは2010年6月24日以降、同年12月31日までに上記要件に同意し、早期審査を請求したる米国出願にて適用される。(但し、本年年末までにPTOに対する合計10000件の早期審査請求があればその時点で当該プログラムを中止する)。 然しながら、当該早期審査のプログラムが成功と判断される場合には、本年12月31日以降も継続する可能性はあり。 尚、早期審査の請求費用(対特許庁費用)は不要。

以上

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矢部達雄